義父の好きなもの

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霜降とはほど遠く
岡山の最高気温は25℃と、たおやかな秋の空に夏のような日差しのふりそそぐ中、義父は小さな壺の中に小ぢんまりと収まった

宇津井健さん似の美男子で
ちょっぴり?難しい人ではあったけれど
食べることの執着心は他の誰よりも、
血の繋がりをも感じるほど意気投合
帰省するたび、食べ物談義には花が咲いた

先々週見舞った折も、1日1人、15分だけ許された面会時間に言葉を発することも、食事をすることも難しくなった父が嫁に話してくれたことは

モナカのアイスをもってきてほしい
マスカットを1粒もってきてほしい
ピオーネも1粒もってきてほしい

家に帰る目処が立たないから、畑の野菜をたくさん持って帰りゃあえぇ

冬瓜がたくさん料理してあるから食べりゃあえぇ

冷蔵庫のヨーグルトはいらないから持って帰ってくれ

、、と、終始食べ物のことばかり、、

お義父さん、他に何か伝えておきたいことはないの??
と、少し笑えて

「食べることは生きること」

きっと、父にとって何より大切なことが食べることなのだろうと、もう少し、大丈夫かな
と思っていた矢先の訃報だった

棺の中の父の手の届くところには果物をたくさん入れて冥土の土産に、、

生前、歯の丈夫な父は徳島(数年在住)からの帰省時には香川の瓦煎餅を買ってきてほしい、と

最近のおやつ箱には梶谷のシガーフライが常時入っていた

ガリガリ、ガリガリなハードなお菓子たち

「噛みごたえのある硬いもの」

そして栄養価高くデトックスの期待できるものを現在試作中

完成したら父にも食べてもらおう